「グランジは燃え尽きた」古着を愛したカートコバーンが次世代に遺したかったもの
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理想の男性像・・・それは時に女性からの憧れだけではありません。
「俺もいつかはこんな男に…」
男なら誰しも、ファッション・容姿・生き方、、、全てをひっくるめてかっこいいと思えるような「理想の男性像」というものがあるはず。
90年代のロックバンドシーンに「グランジ」という新たなジャンルを確立した伝説のバンド「ニルヴァーナ(Nirvana)」のボーカル、カートコバーン(Kurt Cobain(享年27))も、多くの「男が憧れる男」の1人です。
現在、彼が生み出したグランジの概念をモチーフに、新たな「グランジ・ファッション(グランジスタイル)」が人気を呼ぶとともに、そのルーツとなった「元祖グランジ」スタイルもまた再燃しはじめ、彼が愛した古着アイテムも注目を浴びています。
しかし、90年代当時、カートコバーンを始めとするグランジ・ロック界のミュージシャン当人らは、世間のグランジというブームには嫌悪感を抱いていたと言います。
それでも、彼が貫き通したかったグランジ精神とは何だったのでしょうか?
90年代のグランジファッションが現代再燃したとは言え、流行に簡単に流されないのが古着を愛する者のモットー。
単純に「グランジ系」と言われるアイテムを揃えて真似るだけではなく、そのスタイルのルーツやパイオニアとなったカートコバーンの生き様や彼が伝えたかったグランジ精神の真意を知ってこそ、形だけにとらわれないグランジスタイルを追求できるというもの。
今回は、「元祖グランジスタイルの魅力」とその生みの親である「カートコバーンが人生で貫き通したグランジ精神」に迫ります!
カートコバーンのファッションに憧れる方も、グランジスタイルに必須である古着に興味を持っていただいた方も、古着が大好きな方も、是非ともお楽しみください!
目次
現代のグランジファッションはどのようにして生まれたのか?
カートコバーンが愛したグランジのルーツを探る前に、グランジ・ファッションが生まれた経緯や現在の位置づけについて簡単におさらいしておきましょう。
グランジの起源は90年代のミュージックシーンで生まれた新たなロックジャンル
現在言われているグランジファッションとは、元々90年代にアメリカのシアトルを中心に流行した「グランジ・ロック」という音楽ジャンルから派生したもの。
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カートコバーン属するニルヴァーナはグランジ・ロックの代名詞ともなる人気バンドでした。
ちなみに『グランジ(grunge)』とは、『汚れた、うす汚い』を意味する『グランジー(grungy)』という俗語を名詞化したもの。
80年代後半まで、ロックミュージシャンと言えば、派手で豪華に着飾ることが当たり前のようになっていましたが、カートコバーンらが身につけていたのは着古して擦り切れたネルシャツやカーディガン、穴の開いたジーンズに履きつぶしたスニーカーといったどこにでもあるアメリカの普段着。
こういった彼らのグランジスタイルが、音楽ジャンルとしてだけでなく若者のファッションにも大きく影響を与えたことで、「グランジ系」という新たなファッションカテゴリーが生まれました。
現代におけるグランジファッションの位置づけ
1994年のカートコバーンの死によって、音楽ジャンルとしての「グランジ」はピークこそ過ぎたものの、その後もパールジャムなどポスト・グランジと呼ばれる人気バンドも出現し、当時の影響を与え続けています。
その一方で、ファッションとしての「グランジ」は、その形を変えながらも現代まで引き継がれ、90年代グランジスタイルをモチーフにした新アイテムのリリースやそれらを取り入れたコーディネートが注目されています。
ただ現代のグランジファッションは、90年代当時のカートコバーンらのファッションとは見た目やその方向性が大きく変わりました。
写真左)出典:thefashionist.com
写真右)出典:stylecaster.com
「ダメージ”加工”」や「ビンテージ”加工”」が施されたジーンズやカーディガンといったグランジ系アイテムに、「着くずし」や「重ね着」などの特徴を取り入れたコーディネートでキレイ目に着こなす。
といったように、グランジにインスパイアされたファッションデザイナーらの手によって、現在はグランジファッションの幅が広がりつつあります。
元祖グランジの理想像・カートコバーンに学ぶ「グランジ精神」
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ここからは、原点となる90年代元祖グランジスタイルに目を向けて、そのパイオニアであるカートコバーンの生涯とともに、現代に受け継がれる「グランジカルチャー」「グランジ精神」を追いかけてみましょう。
カートコバーンは何故古着を愛用していたのか?【普段着から生まれたグランジファッション】
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カートコバーンと言えば、ボーダー柄のほつれたニット、毛羽立ってクタクタになったネルシャツ、横糸むき出しの穴あきデニムなどグランジ系ファッションを象徴ともなるアイテムの着用が印象的です。
カートコバーンを代表するグランジ・ロック・ミュージシャンがこぞって古着を愛用していた理由は一体何だったのでしょうか。
それはシンプルに「お金がなかった」からです。
のちに、新たなファッション・カテゴリーとなるグランジ系と言われるアイテムは、実は彼らの「普段着」の愛用から生まれたものだったんですね。
また、彼らは成功を手にしても表面的なゴージャス感や派手さに目を向けることなく、アンダーグラウンドな音楽のパフォーマンスだけに注力し続けました。
それまでの「ロックミュージシャンは派手で煌びやかである」という世間のイメージとは裏腹に、一般的な若者と変わらないない、ありのままの姿を見せ続けた彼らのスタンスは、音楽界だけでなく当時の若者にも大きな影響を与えました。
商業的な流行に呆れていたグランジ・ロック・ミュージシャンたち
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ミュージックシーンとともにファッションにも爆発的な流行を放った「グランジ」スタイルですが、その流行の源泉となった当の「グランジ・ロック・ミュージシャン」本人たちはその流行を醒めた目で見つめていました。
なぜなら彼らにとっては「ありのままの姿である普段着でロックをしていた」だけだから。
その「ありのままの姿」が商業的なファッショントレンドとして扱われ、彼らの普段着や古着をマネてデザインされたアイテムが高額で販売されるという状況に、当事者であるグランジ・ミュージシャン本人らは嫌悪感を抱いていました。
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Tシャツに「grunge is dead.(グランジは死んだ。)」のプリント。トレンドの発端となったカートコバーン自身が、音楽メディアの誇張しすぎた報道や社会の商業主義に皮肉をこめた主張をしています。
グランジ・ロックという新しいジャンルを生み出し、90年代のロックバンドシーンにおいて爆発的な成功を収めたニルヴァーナ。
しかしカートコバーンは、着飾らない自分を表現するための「自身が追い求めたグランジのスタンス」に相反して、その功績が商業的で薄っぺらいトレンドや名声に変わっていくことに苦しんでいました。
カートはその葛藤に苦しみ続けた挙句、1994年享年27歳という若さで、シアトルの自宅で命を絶ってしまいます。
「古着は汚い」を覆したカートコバーンのグランジ精神
「貧乏が着るもの」「誰かに使い古された汚いもの」という目で見られていた古着をロックスターが率先して着用し、「グランジ」という音楽としての功績だけでなく、新たなファッション・カテゴリーまで作り上げてしまったカートコバーン。
本人は望んでいなかったかもしれませんが、「グランジスタイル」は変化を伴いながら、今も多くの若者やファッションデザイナーに影響を与え続けています。
世間的に求められる偶像としてでなく、常にありのままの自分を表現することに信念をもってこだわり続けたカートコバーンの生き様は「グランジ精神」として後世にも強い影響を与え続けました。
カートコバーンが愛した古着アイテム【次世代に引き継がれるグランジカルチャー】
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ロックスターの「衣装」ではなく、自分を表現する「日常着」にこだわりを持っていたカートコバーンですが、そのファッションセンスには平凡さを感じさせないカリスマ性がありました。
彼は決してボロボロの服をわざわざ選んで着用していたのではありません。
カートコバーンがボロボロになるほどに特に愛用していたアイテムを少しご紹介します。
ダメージデニム「リーバイス501」
カートコバーンが常に穿いていたダメージジーンズの中でも特に愛用していたのが「リーバイス(Levi’s)の501」。
現行で販売されているモデルよりも90年代以前の古着をチョイスすることで、当時のカートの雰囲気により近いものとなります。
コンバースのジャックパーセル
こちらはグランジ系アイテムというよりも、カートコバーンのファッションを語るには外せない、彼に最も愛され、最も身に着けられていたアイテム「コンバース(Converse)のジャックパーセル」。
コンバースのブランド生誕100周年記念で、カートコバーンモデル(レザー製)が限定生産されるほど、特段愛用されていたことで有名です。
オーバーサイズのカーディガン・ネルシャツ
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Tシャツの上にネルシャツやカーディガンを羽織るスタイルを特に好んでいたカートコバーン。
カーディガンやセーターの袖がギター弾く手の半分以上を覆っていたり、長袖のネルシャツは荒々しく腕まくりをしていたりと、オーバーサイズ感を出していたのが特徴的です。
程よい使用感のある古着は体に馴染みやすく、着古してクタっとなった感じを演出しやすいです。
古着こそグランジだ!「錆び付く前に燃え尽きよ!」
男が憧れる男、カートコバーンが愛した古着とグランジ精神。いかがでしたでしょうか?
カートコバーンの遺書には、ニールヤングの「ヘイ・ヘイ・マイ・マイ」の歌詞の引用である「It’s better to burn out than to fade away(だんだん消えていくより燃え尽きる方がいい)」が強烈な筆跡で遺されていたといいます。
命を絶ってでも彼が貫き通したグランジ精神「世評に埋もれて錆び付くくらいなら燃え尽きよ!」は、世代を超えて現代のファッション界にも古着MIXのスタイルを生み、多大な影響を与え続けています。
「グランジ系」「ダメージ系」といったトレンドだけに流されないスタイルを追求するのはもちろんのこと、その原点を知ることで古着の楽しみもグッと深いものになります。
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